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60歳は忙しい
60歳を迎えたその日から気持ちが変わる。“あいつは定年かな”、“病気していないかな”と、今までの仕事しか考えていなかった思考回路に変化がおきる。静かな夜になると、“あと10年生きられるかな”、“いやいや80歳までは現役を目指そう”なんて自分を励ましたりする新しい一面もでてくる。そうかと思えば、人がよくみえる気がして、若い人に人生論なんか語ってしまうこともある。
そうしていると今度は国民年金のお知らせが届く。老眼では読みづらい細かい字をみると、むずかしいことばかり書いてある。“老齢基礎年金国民年金保険料納付済み期間と免責期間、厚生年金等の期間を合算して300月以上”だって。自分の数字がタイプされている欄を見ると、納付月数が142となっている。これは大変、ぜんぜん足りない。さっそく時間をさいて、雨の中住区の社会保険事務所に質問しに出向いた。仕事場から1時間もかけて、やっと到着。おどろいたことに年金の相談窓口には人が一杯で、歳の頃も私と同じ位が多いことに気づく。役所の雰囲気のせいか、髪の色とか服の色のせいか、その情景はシルバーっぽく、つい“私もなじみそう”なんて少し沈む。いずれにしても待っていられない。「どのくらい時間がかかりますか」と係の人に聞くと、簡単に「2時間くらいですね。雨だから今日はすいていますよ。」と言われる。仕事の予定もあり、結局委任状の用紙をもらって帰った。
その後は家族にお願いしたが、免責期間となる学生時代の在学証明書を取り寄せたり、大学に勤めていたので、その頃の書類を共済組合に連絡して送ってもらったりした。厚生年金をやめたときの理由は死亡になっていたという。父が亡くなったときの届出で、書き方を間違えたのかもしれない。
そうこう走り回っているうち、つい“俺は老人なんだ”と思わされるようになる。そう考えると後期高齢者に入っている人も、自然と自分自身をそう思うようになってしまうのかもしれない。みんな元気に、“脱老人”でつっぱろう。

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